甲状腺疾患と糖尿病の関わり

甲状腺は、のどぼとけの下あたりにある小さな臓器で、全身の代謝を調節するホルモンを分泌しています。甲状腺の機能に異常が生じると、血糖コントロールにも影響を及ぼすことがあります。
甲状腺の病気は糖尿病の合併症ではありませんが、症状が糖尿病、およびその合併症と重なりやすく、見逃されやすいのが特徴です。「治療を続けているのに血糖値がうまくコントロールできない」という場合、甲状腺の異常が隠れている可能性もあります。
甲状腺疾患について
甲状腺の病気にはいくつかの種類があり、主にホルモンが「過剰になるタイプ」と「不足するタイプ」があります。
ホルモンが過剰になるタイプ
バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。代謝が異常に活発になるため、動悸、発汗、手の震え、体重減少、イライラ感などの症状が現れます。安静にしていても心臓がドキドキする、食べているのに体重が減るといった変化が見られた場合は注意が必要です。
ホルモンが不足するタイプ
橋本病に代表される甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が不足します。代謝が低下するため、倦怠感、体重増加、むくみ、冷え性、便秘、気分の落ち込みなどが現れます。症状がゆっくり進行することが多いため、病気と気づかずに見過ごされやすい傾向があります。
甲状腺疾患は女性に多い
甲状腺疾患は、特に女性に多く見られます。特に橋本病は中年以降の女性に好発する傾向があり、更年期の症状と紛らわしいことも、発見が遅れる一因です。更年期障害も治療の対象となりますので、辛い症状は我慢せずに医師に相談しましょう。甲状腺疾患との鑑別の観点からも、早期受診をおすすめします。
糖尿病との関連
甲状腺の異常が血糖値に影響する
甲状腺機能亢進症では代謝が上がることで糖の分解が促進され、血糖値が高くなりやすくなります。インスリンの分解も早まるため、インスリン注射の効きが悪くなったと感じるケースもあります。
一方、甲状腺機能低下症では体重が増えやすく、インスリン抵抗性が高まるため、血糖コントロールが悪化する場合があります。いずれの場合も、糖尿病の治療だけを行っていても血糖値が思うように改善しないことがありますので、甲状腺の状態を併せて確認する必要があります。
1型糖尿病との合併にも注意
1型糖尿病は自己免疫の異常が原因で発症しますが、橋本病やバセドウ病も同じく自己免疫が関わる疾患です。そのため、1型糖尿病と自己免疫性の甲状腺疾患が合併するケースも報告されています。1型糖尿病で治療中の方は、定期的に甲状腺機能を確認しておきましょう。
糖尿病の症状と紛らわしい
見逃されやすい理由
甲状腺疾患の症状は、糖尿病と重なる部分が多くあります。
- 疲れやすい、だるさが続く(亢進症・低下症共に)
- 体重が変わる(亢進症では減少、低下症では増加)
- 動悸がする(亢進症)
- むくみが出る(低下症)
- 手足がしびれる(低下症)
糖尿病の治療中に血糖コントロールが急に悪化した場合や、治療を続けているのに体調がすぐれない場合は、甲状腺の異常も疑われます。甲状腺の異常が見逃されたままになると、糖尿病の治療にも悪影響を及ぼしかねませんので、早めに当院へご相談ください。
当院での診療
血液検査で甲状腺機能を評価する
神戸市灘区・JR六甲道のおおや内科 糖尿病・心臓クリニックでは、血糖コントロールがうまくいかない場合や、動悸・体重変化・倦怠感が続く場合に甲状腺ホルモン(FT3・FT4・TSH)の血液検査を実施しています。糖尿病の診療の中で甲状腺の異常を発見できる点は、内科として幅広く対応できる当院の特徴です。
糖尿病と甲状腺疾患の両方を管理する
甲状腺の機能が安定すると、血糖値もコントロールしやすくなります。当院では両方の状態を定期的に確認しながら、治療方針を調整しています。専門的な治療や手術が必要と判断された場合は、連携する医療機関へ速やかにご紹介いたしますので、安心してご相談ください。