糖尿病の治療

糖尿病の治療

糖尿病治療の基本と当院の方針

糖尿病治療の基本と当院の方針

糖尿病の治療は、血糖値を下げること自体が目的ではありません。血糖コントロールを通じて全身の血管を守り、合併症のない生活を長く続けていくことが本来の目標です。神戸市灘区・JR六甲道のおおや内科 糖尿病・心臓クリニックでは、食事療法・運動療法・薬物療法の三つを柱に、循環器専門医としての経験を活かしながら、心臓や脳を含めた血管全体を視野に入れた糖尿病治療を行っています。

治療の三つの柱

食事療法が治療の土台になる

食事療法は、糖尿病治療における基礎的な取り組みです。食べる順番やタイミングを少し変えるだけで、食後の血糖値の上がり方は大きく変わります。当院では、院長が自ら持続血糖モニタリングで検証してきたデータに基づき、患者様の生活に合った食べ方をご提案しています。

運動療法は無理なく続ける

運動は血糖値を下げるだけではなく、インスリンの効きを良くする効果も期待できます。激しいスポーツをする必要はないので、スクワットやウォーキングなど、続けやすい運動を取り入れることがポイントです。食後の高血糖を予防するためにも、食後は早めに体を動かしましょう。

薬物療法は食事・運動の上に組み合わせる

食事と運動だけでは血糖値のコントロールが難しい場合に、薬を併用します。近年は低血糖を起こしにくく、体重の減少や心臓・腎臓の保護効果が期待できる薬も登場しています。当院では薬だけに頼るのではなく、食事・運動療法を土台にしたうえで、必要な薬を必要な分だけ使うことを大切にしています。

当院が設定する治療目標

HbA1c5.5%以下を目指す理由

一般的に糖尿病の治療目標はHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)7%未満とされていますが、当院ではさらに踏み込み、5.5%以下の「完全正常化」を目指しています。HbA1cが6%前後の方でも心筋梗塞に至るケースが報告されているので、一般的な目標値だけでは十分とはいえません。糖尿病の三大合併症の予防だけではなく、心筋梗塞・脳梗塞・認知症のリスクを下げるところまで視野に入れた管理を行っています。

数値だけで判断しない

当院では、HbA1cや血糖値の数字だけではなく、頸動脈エコーによる動脈硬化の評価も重視しています。数値が高めでも血管がきれいであれば薬を増やさない判断をすることもあり、逆に数値が落ち着いていても血管に変化があれば早めの対策を講じます。患者様お一人おひとりの体の状態に合わせた判断を大切にしています。

早く始めるほど効果が続く

レガシー・エフェクトという考え方

早い段階で血糖値を改善しておくと、その効果が10年、20年先まで持続するとされています。これは「レガシー・エフェクト」と呼ばれる現象で、治療の開始が早いほど、将来の心筋梗塞や脳卒中などの合併症リスクを長期にわたって抑えられる可能性があります。

逆に、高血糖の期間が長引くほど血管へのダメージが蓄積され、あとから同じ治療をしても効果が出にくくなります。「糖尿病は診断直後の治療が大切」とよく言われるのには、こうした理由があるのです。

一旦リセットしてから薬を減らしていく

血糖値が高い状態が長く続くと「糖毒性(glucotoxicity)」と呼ばれる悪循環に陥ることがあります。高血糖そのものが膵臓に負担をかけ続けることで、インスリンの分泌能力が低下し、血糖値がますます上がりやすくなるのです。こうなると食事や運動を頑張っても効果が出にくく、薬も効きづらくなります。

当院ではまず薬で血糖値をしっかり下げて糖毒性を解除して、膵臓の機能を回復(リセット)させることを優先します。膵臓が休まりインスリンの分泌が戻ってくれば、同じ治療でも効果が出やすくなるため、そこから食事・運動療法の定着に合わせて薬を段階的に減らしていきます。

薬を減らす・なくせるように

寛解という状態

糖尿病は完治が見込める病気ではありません。しかし、薬を使わずに血糖値が正常な状態を維持する「寛解」を目指すことは可能です。血糖値スパイクが起こらない食べ方を身につけることで膵臓のインスリン分泌を回復させれば、食事と運動だけで血糖値を安定させることもできます。

当院の院長自身も、食べ方の改善を続けることで血糖値スパイクが起こらなくなった経験があります。ただし、生活習慣の乱れで再び上がることもあるため、定期的な通院で状態を確認していくことが大切です。