糖尿病が招く心筋梗塞のリスク

心筋梗塞は糖尿病の重大な合併症の一つで、心臓の血管が血栓で詰まり、心筋が壊死してしまう病気です。前触れなく突然発症するケースも多く、対応が遅れれば命に関わることもあります。
当院の院長は循環器専門医としてカテーテル治療に長年携わる中で、糖尿病と心筋梗塞の密接な関係を数多く経験してきました。「糖尿病・心臓クリニック」という名称もこの臨床経験から生まれたもので、糖尿病の管理を通じて重篤な合併症を防ぐことが、当院の役目です。
心筋梗塞とは?
心臓の血管が詰まる病気
心臓に血液を送る冠動脈で動脈硬化が進行すると、血管壁にコレステロールの塊(プラーク)が溜まっていきます。このプラークが何らかのきっかけで破裂すると血栓ができ、血管が完全に詰まります。その先の心筋に血液が届かなくなり、心筋が壊死していくのが心筋梗塞です。
突然発症し命に関わる
心筋梗塞では発症から1時間以内に心停止に至る場合もありますので、迅速な対応が求められます。冷や汗を伴う胸の締め付け、左腕や肩、顎への放散痛、息切れなどが代表的な症状です。心筋梗塞が疑われる場合は迷わず救急車を呼ぶことが重要で、早期に適切な治療ができれば、救命率は大きく上がります。
糖尿病がリスクを高める理由
血糖値スパイクが動脈硬化を進める
血糖値の急激な上昇と降下の繰り返し(血糖値スパイク)は、血管の内壁を傷つけます。傷ついた部分にLDLコレステロールが入り込んでプラークが形成され、動脈硬化が進行していきます。
実際に、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が6%前後の「境界型」の段階でも心筋梗塞に至るケースは珍しくありません。糖尿病歴のない心筋梗塞の患者様にOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を行ったところ、83%に糖代謝の異常が見つかったという報告もあります。
糖尿病は多枝病変を起こしやすい
糖尿病の方は、1本の血管だけではなく複数の冠動脈に同時に動脈硬化が進む「多枝病変」が起こりやすいとされています。こうなるとカテーテル治療だけでは対応が難しく、バイパス手術が必要になる場合もあります。さらに、糖尿病の方は治療後も血管が再び狭くなる「再狭窄」のリスクが高いため、治療後の継続的な血糖管理が重要です。
糖尿病の方が気をつけること
胸痛を感じにくい場合がある
糖尿病による神経障害が進むと、痛みの感覚が鈍くなることがあります。典型的な胸痛がないまま心筋梗塞を発症する「無痛性心筋虚血」は、糖尿病の方に特有のリスクです。胸痛の代わりに、息切れやだるさ、冷や汗、吐き気といった症状だけで発症する場合もあります。
「いつもと違う」と感じたら受診を
糖尿病の方は、胸の痛みがなくても体調に異変を感じたら放置しないことが大切です。特に運動時や食後に息苦しさや強いだるさを感じる場合は、心臓の血流が不足しているサインかもしれません。早めの検査で心筋梗塞の前段階である狭心症を発見できれば、心筋梗塞の対策を取ることができます。
当院での予防と管理
カテーテル治療の経験に基づく予防・管理
神戸市灘区・JR六甲道のおおや内科 糖尿病・心臓クリニックでは、心筋梗塞の予防を糖尿病治療の最も重要な目的の一つと位置づけています。血糖値スパイクの抑制を軸に、脂質管理・血圧管理を三位一体で行い、頸動脈エコーや心エコーで動脈硬化と心臓の状態を定期的に評価します。HbA1cの数値だけではなく食後の血糖変動にも注目して、OGTTやFreeStyleリブレを活用して隠れた高血糖を見逃さない体制を整えています。
再発予防にも対応
カテーテル治療を受けた後の再発予防として、食べ方の改善によるスパイク抑制、コレステロール管理、EPA・DHAの摂取指導など、生活全体を見据えた継続的なサポートを行っています。「治療は終わったけれど、専門的な管理を続けたい」という方もお気軽にご相談ください。